FC2ブログ

鉄錆廃園

牙狼の二次創作メインサイト

  • 2018_10
  • <<
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • >>
  • 2018_12

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  1. スポンサー広告
web拍手 by FC2

「比翼連理」第20話

 お久しぶりの更新でゴザイマス~~~(≧▽≦)
 
 やっとここまで復旧できてワタクシも嬉しい~~~!!
 というわけで「比翼連理」の第20話でゴザイマス。
 今回はカオルと邪美ねえさま編です~。



 
「比翼連理」 第20話


 魔戒に関わる土地にはよくあることだったが、紅蓮の森には道らしき道はなかった。
 見渡す限りの色の失せた荒野に、ぽつぽつと点在する枯れた木々。鉛色の空は重くのしかかり、太陽すら見えない。無論、方角などわかろうはずもない森を、カオルと邪美は魔針盤を頼りに歩き進んでいた。
 一体どれほど進んだのだろう。
 手首の時計を見たが、地場がおかしいのか針がくるくると狂ったように回っていて正確な時間がわからない。
 ただ、疲労だけが少しずつたまってゆく。
 次第にカオルの足が遅くなってきたことに気づいた邪美は、大きな木の側で足を止めた。
「少し休むかい。疲れただろう?」
 カオルはごく普通の人間なのだ。魔戒の者とは体力も何もかもが違うのだから、こればかりは仕方がない。
「ううん。大丈夫!」
 邪美の足手まといになるまいとカオルは殊更明るい声を上げたが、それが空元気であることは邪美にはバレバレだった。
「無理しなさんな。顔色がよくないよ」
「……ごめんなさい」
「謝ることないさ。あたしも少しばかり疲れたしね」
 この先すんなりと紅蓮の森を抜けられるかはまだわからない。休める時に身体を休めることも必要だった。
 大きな木の根元にぺたんと腰を下ろし、
「邪美さん……。鋼牙達、大丈夫かな……?」
 ポツリと呟いたカオルの声には隠しきれない不安が滲む。
「あいつらなら心配することないさ。実戦から遠ざかって元老院の奥でふんぞり返ってた連中が何十人束になったって、最前線で戦ってきたあいつらにかなうもんかね」
 片手であしらわれて終わりさ。
 邪美はカオルを安心させようと、殊更明るい口調でそう言った。
「……そうだよね」
 メシアにもギャノンにも、鋼牙は打ち勝ってきたのだ。
 ーーなのに
 この胸を塞ぐような不安はなんなのだろう?
 泣き笑いのような表情になり、深く俯いてしまったカオルを勇気づけるように邪美はポンポンと細い肩を叩いた。
「そんな顔しなさんな。あんたは必ず無事に鋼牙のところに返してやるよ」
「……邪美さんもね。一緒に翼さんのところに帰ろう?」
「……ああ。そうだね」
 むすりとした武骨な横顔が一瞬頭に浮かび、思わず微かに笑ってしまった邪美を見上げて、カオルもようやく笑顔になる。
「あ。今、翼さんのこと思い出したんでしょ?」
「あんたが変なこと言うからだろ」
「変じゃないよ。邪美さんも翼さんのところが自分の居場所だって思ったから結婚しようって決めたんでしょ?」
「……居場所、か」
 親代わりとも言えた阿門法師が亡くなり、自分のいるべき場所は失われたと思えた。
 ひとときの死と再生を経て、数奇な運命の元に出会った恩人の少女こそが、自分が守るべき者なのだと感じ、閑岱に留まることを決めた。
 我雷法師や里の人々と共に暮らし、共に戦ううちに、彼の存在はいつしか自分の心に住み着いていたのだ。
 幼なじみであった鋼牙に抱いていた淡い想いとはまた違う、成熟した想い。
 普通の女のように男に甘えることを知らず、扱いにくいことこの上ないだろう自分の背中を守ると言ってくれた翼が、たまらなく愛おしかった。
 失いたくない。
 その傍らに早く帰りたい。
「……そうだね」
 滅多に見ることのない邪美の柔らかな微笑に、カオルは嬉しくなって強く頷いた。
「……うん!」
 ーー刹那
 バキリ、と枯れた大きな枝が砕けたような音が頭上から響いた。
「…………ッ!?」
 和みかけた空気が一瞬にして緊迫し、邪美は即座に魔導筆を構えた。カオルはバッグを両手で胸の前に抱え、音を立てないようにそろそろと腰を浮かせた。
 そういえば、霊獣の結界の周囲を諦め悪くうろついていたホラーの姿がない。
「カオル! 向こうの木まで走れ!」
「うん!」
 言われるままにカオルが駆け出す。その背後を守るように邪美も動いた瞬間、何か目に見えないモノがズシンと地面に降り立った。
 木が折れ、もうもうと土埃が舞い上がるが、その姿は見えない。もう一度、ズシンと音がして渇いた地面がひび割れると、そこからまるで空間が歪むように色が生まれ始めた。
 大きなメタリックの鉤爪。赤と黒の斑の体色をした巨大な蜥蜴が、どす黒い紫色の舌で口元をべろりと舐めまわしながら二人を見据えていた。
「いやあああ! な、なにあれ!? ヤダヤダヤダ! 気色悪い!」  
「……どうやら、連中はどうあってもあたしらを始末しなきゃ気が済まないらしいね」
「邪美さんっ。あれもホラーなのっ!?」
「いいや。あれは多分魔導生物さ」
「……魔導、生物?」
「ああ。生き物にホラーの一部を混ぜ合わせて作る。魔戒法師の使い魔みたいなもんさ」
 それにしても、この蜥蜴は剣呑極まりないが。
 カオルをこれ以上怖がらせたくなくて口には出さなかったが、この蜥蜴の全身からぷんぷんと匂っているのは人の血の匂い。
 連中はご丁寧にこの蜥蜴に人の血の味を覚えこませたらしい。
 確実に自分達を始末するための念押しと言ったところか。
 ズズン、と足音を響かせてまた一歩距離を詰めると、カオルは飛び上がるようにして邪美にしがみついた。
「ヤダヤダヤダ! 来ないでぇ!」
「……ちょっと下がってな。カオル」
「邪美さん!? 駄目! 霊獣さんの結界があるから……っ」
「こいつの力押しじゃあ、結界が負けちまうかも知れない。そうなったらますますヤバいからね」
 蜥蜴とホラー。両方から襲われてはひとたまりもない。ホラーを霊獣の結界が抑えてくれているうちに、この厄介な魔導生物をなんとかしなくては。
 邪美が魔導筆を構えると、敵意を察したのか蜥蜴の頭から背まで続く鶏冠のような赤い突起が次々と隆起し、鋭い刃のような輝きを放った。
「いくよ!」
 高まる邪美の闘気に煽られるように、毒々しい蜥蜴は口を大きく開くと空気を震わせて喉を鳴らした。


*  *


 ぶん、と大きな尾が空を切る。
 大振りな攻撃を美しい動作でひらりとかわした邪美は、空中でくるりと回転して間合いをとって着地した。
 しかし、身体の大きさの割に動きが素早い蜥蜴はすぐにくねくねと頭の方向を変えると、前肢で反動をつけて邪美に向かって飛びかかる。
「はっ!」
 細い身体をひと噛みにしようとがばりと口を開けて突進してきた顔面に、邪美の放った波動が直撃する。しかし、動きが止まったのは少しの間のこと。蜥蜴は波動を噛み砕くようにばくりと飲み込んでしまった。
「ちっ。面倒な奴だね」
 この蜥蜴の表皮には魔導力を弾く処理が為されている。ならば、剥き出しの目や口はどうかとやってみたのだが、徒労に終わったらしかった。
 無傷の蜥蜴の大きな鉤爪を器用に避けながら、邪美は少しずつカオルのいる場所から距離を取り始めた。
 自分が蜥蜴のエサになってしまっても、少しでも彼女が逃げる時間を稼げるように。
 無論、邪美とてこのまま簡単に喰われてやるつもりはない。
 胸元でぎゅっと握りしめたのは、赤い符札。
 自分の命と魔導力を起爆剤にすれば、さすがにこの蜥蜴も無傷ではいられまい。
 カオルと交わした、「二人で大事な人のところへ帰る」という約束は果たせなくなってしまうが、これも仕方のないことだ。魔戒に関
わる者にはよくある話だ。
 鈴は泣くだろう。
 翼は……泣いてくれるだろうか?
 こんなときまで憮然とした顔しか思い出せない男に苦笑し、大きな口をかわして飛び上がった刹那――
「!」
 不意に身体ががくりと後ろに引っ張られる。
 蜥蜴の爪が邪美の魔法衣の裾を引っかけて引いたのだ。
「く……っ」
 ようやく捕まえた獲物を逃すまいと、蜥蜴はそのまま邪美を地面に叩きつけた。
「う、あ……っ」
 運悪く背中に大きな岩があたり、声にならないほどの衝撃と痛みが全身を駆け巡る。息が詰まって動けなくなったところへ、胸の上を大きな足がずしりと押さえつけた。
「邪美さん!」
「カオル……っ。あたしのことは、いいから……っ。今のうちに……っ」
 思い切り体重を乗せてくる蜥蜴のせいで肋骨がギリギリと軋み、それ以上声にならない。
「嫌! そんなことできないよ……っ」
「カ、オル……っ」
 邪美を助けたい。でも、自分にはその力がない。
 邪美の言葉通り逃げることも、蜥蜴に立ち向かうこともできずにその場に立ち尽くし、大きく見開かれた双眸から涙が溢れた。
(鋼牙、鋼牙……!)
 胸の内で何度叫んでも、鋼牙はこない。
 来られるはずがないとわかっていても、カオルはすがらずにはいられなかった。
「! う、ああぁぁ……っ」
 邪美の肩に、蜥蜴の鋭い爪がずくりと食い込む。溢れる真っ赤な血に蜥蜴の双眸がぎらりと輝いた。
「やめてえ!」
 思わずその場にへたりこみ、ぎゅっと目をつぶってしまったカオルの悲鳴など聞こえていないかのように、蜥蜴は鼻先を邪美の傷口に近づけた。
 ――刹那
 ざく、と肉を断つ鈍い音が響く。
 そして、耳をつんざく獣の絶叫。
 一瞬遅れて、ざん、と土を踏む音がすぐそばから聞こえて気配を感じて、カオルはびくりと肩を震わせた。
(邪美さん……! やだよう! 誰か悪い夢だって言って……!)
「遅くなってすみません、カオルさん」
 聞き慣れた穏やかな声色が耳を打つ。
「え……?」
 ハッとして顔を上げると、そこにいたのはいつもの優しい笑顔のレオで……。その腕にはしっかりと抱えられた邪美の姿もあり、カオルは思わず飛びついた。
「レオくん! 邪美さん!」
「カオル……。なんとか命拾いできたよ」
 血まみれの肩の傷は深く肉が抉られ痛々しいが、命があるだけマシというものだ。
「ここで少し待っていてくださいね。あれを片付けてきますから」
 片方の前肢を失い、気味の悪い緑色の体液を撒き散らしながらレオを睨みつける双眸が真紅に変わってゆく。
「レオ。気を付けな。あいつに魔導力は通用しない」
「はい」
 傷ついた邪美をカオルに預けると、魔戒騎士の顔つきになったレオは蜥蜴に向かって足を踏み出した。


 第21話へ


スポンサーサイト
  1. 牙狼・鋼カオ
  2. / トラックバック:0
  3. / コメント:2
web拍手 by FC2

管理人のみ閲覧できます

  1. 2015/10/26(月) 22:02:08 |
  2. |
  3. [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2015/11/04(水) 21:58:41 |
  2. URL |
  3. とらこ
  4. [ 編集 ]
こんばんわ、まー母さん様。
何やらバタバタしておりまして、お返事が遅れてしまいまして申し訳ゴザイマセン~。
レオが追いついてくれて、邪美とカオルは一安心です~。まだトカゲさんは健在ですが。。。
鋼牙牙狼、ホント見たいですよね~~。
金狼感謝の日には何が発表されるのか……。今からドキドキですね。

 管理者にだけ表示を許可する
 

FC2カウンター

プロフィール

とらこ

Author:とらこ
ど田舎在住の超インドア人間。
牙狼とV系の音楽をこよなく愛してます。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

« 2018 11  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

QRコード

QRコード


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。