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鉄錆廃園

牙狼の二次創作メインサイト

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「サンタクロースは白い恋人」 後編

 うおおおお。
 よ、ようやく仕事納めしてまいりました……。
 遅くなってしまいまして大変申し訳ゴザイマセン<(_ _)>
 後編のお届けでゴザイマス。

 あ。コメントなどなどのお返事は明日、年末のご挨拶とともに致します!



 
「サンタクロースは白い恋人」 後編

 十二月二十四日。
 世間が言うところの、クリスマスイブ。
 カオルは少しばかり落ち込んでいた。
 十二月の始め頃、こちらの街に移り住んで初めて、出版社の人に絵を見てもらえる機会があった。向こうにも気に入ってもらえて、トントン拍子に何度か打ち合わせをしていたのだが……。昨日になって、急に企画の趣旨が変更になったと仕事を断られたのだ。
 気合いが入っていただけにその反動は大きく、カオルは昨夜からまるで抜け殻のようになって部屋に篭り、真っ白なカンバスの前でぼんやりとしていた。
 今までも何度も挫折してきた。こんなことなんでもない。
 でも、もう少し時間が欲しい。
 留学して、賞をもらって、帰ってきて鋼牙と想いが通じて、思えば少し調子づいていたのかも知れない。
 これはあんまり調子に乗るなという神様の忠告かも知れない、とカオルは自分を戒める。
 そうなってくると、楽しみにしていた明日のパーティーも、何やら緊張感を帯びてくる。
 クリスマスツリーをモチーフにした着ぐるみめいたドレスは買っておいたが、そんなものを着る気には到底なれない。かといって、パーティーに着ていくようなフォーマルなドレスなど一着も持ち合わせてなどいないし。
「う~……」
 唸りながら真っ白なカンバスにめちゃくちゃな線を描いていると、不意にドアが開く。
「……っ!? 鋼牙!? やだもう! ノックしてって前から言ってるでしょ!?」
「……す、すまん」
 着替えてる途中だったらどうすんの!? と言われて、ギクリと身体が強張る。以前は何も考えたことはなかったのに、今頃になって自分の行動が非常識であったことに気付いて羞恥を覚える。
 予想外に表情を硬くした鋼牙に、言い方がキツかったかと少し反省しながら、カオルは手にしていたコンテを置いた。
「……ごめんね。あの、何……?」
「……あの、だな……。少しばかり早い……のかも知れんが……。これを、お前に……」
 と、鋼牙が差し出したのは、黒い箱だった。
 リボンも何も装飾のないその箱は、時期が時期でなかったら、カオルにも何なのか判じかねただろう。
「……鋼牙、これって……」
 まさか。ホントに? あの鋼牙が?
 世間のイベントなんて知ったことかと豪語するあの鋼牙が?
「……クリスマスには、大切な者に贈るのだろう? だから、お前にこれを」
「鋼牙……!」
「……気に入ってくれるといいんだが」
 押しつけるように渡されたそれをそっとベッドの上に置き、カオルは振り返って鋼牙を見上げた。
「……開けてもいい?」
「勿論だ」
 黒い箱に手をかけてそっと蓋を持ち上げると、中に入っていたのはフォーマルドレスだった。深い色合いの翠のワンピース。腕や胸元が大きく開いているが、一緒に箱に入っていたふわふわの毛皮のボレロを羽織ればちょうどいい。しなやか手触りの、上質なベルベットドレス。
「綺麗……!」
「明日のパーティーに着て行け」
「鋼牙……!」
「変な格好で笑いなど取る必要はない。真正面からぶつかっていけ。お前の絵を理解してくれる人間は必ずいる」
 真摯な鋼牙の言葉が、昨日傷ついた心に沁みた。
 そうだ。真正面からぶつかって突破口を開くのが、自分だったはずだ。
「うん……! ありがとう、鋼牙! 私頑張るよ!」
 急浮上したテンションのまま、ぎゅう、と抱きついてきたカオルの背中をそっと抱き返し、まるで子供にするように頭を撫でる。そして、鼻先を髪に埋めると彼女の甘い匂いを吸い込んだ。
「……今夜は明日に備えて早く寝ろ」
「鋼牙は……? また……?」
「……ああ」
 端的な返答に、カオルの表情が曇る。
「……見て欲しかったな。このドレス着たところ」
「後でゆっくり見せてくれ」
『そういうこった。名残惜しいのはわかるがな。鋼牙、魔戒道が閉じちまうぞ』
 不意に鋼牙の左手から聞こえてきた声に、カオルの肩がびくりと震える。そして、耳まで赤くなって俯いてしまう。
 ザルバがいつもいることに慣れたつもりだったが、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「……すまない。明日は気を付けて行け」
「うん。鋼牙も気を付けてね。……早く、帰ってきてね」
「ああ」
 鋼牙の大きな手がもう一度名残惜しげにカオルの髪を撫でて、そっと離れてゆく。
 鋼牙の姿が消えた部屋のドアを少しの間見つめていたカオルの視線が、ゆっくりとベッドの上のドレスに注がれる。
「……ありがと。真っ白なサンタクロースさん」
 メリークリスマスの一言もないところが鋼牙らしくて、思わず笑みがこぼれる。
 まるで壊れ物にでも触れるようにドレスを手に取ったカオルは、嬉しくてそれを胸元に合せながら、鏡の前でくるりと踊った。
 
*****

 ずんぐりとした体格に似合わず、それは存外にすばしこいホラーだった。
 なんとなく鼠を思わせる外見に似合いの小賢しい速さで鋼牙の剣をかわしたホラーはそこそこの粘りを見せたがしかし、黄金騎士に敵うはずもなく、夜明けを待たずに闇に消えた。
 カチン、と剣を鞘に収めた時、鋼牙は近づいてくる見知った気配に気づく。
「……何の用だ、零」
「おーっと。何の用とはご挨拶だなぁ、鋼牙。ここはもう東の管轄だぜ?」
 どうやら、逃げ回るホラーを追っているうちに管轄の境界を越えたらしい。
「……ホラーを追っていただけだ」
「わかってるって。俺はただ、クリスマスだってのに御苦労サンって労いに来ただけ」
 今はもう、神官達も魔戒騎士達の管轄越えをとやかく咎めることはない。ホラーを追いかけていれば今日のように境界を越えることなどままにあることなのだ。そんな些細なことにこだわって簡単に人の寿命を左右していたガルムのあれは、やはり嫌がらせの一環だったのだろう。
「ついでに、カオルちゃんへのプレゼント決まったのかな~と思ってさ」
「……ああ。もう渡した」
「は!? もう!?」
「25日の夜に必要なものだったからな」
「今日!?」
 驚く零に、面倒そうに眉をひそめた鋼牙の代わりにザルバがかいつまんで事情を説明する。
「なぁんだ。そーいうことか」
『……そういうこった』
「んじゃ、その晴れ姿見に行かなきゃな」
「!?」
「あ。別に鋼牙はいーよ。俺が行きたいだけだから。ついでに俺もクリスマスプレゼント渡しちゃおーかな」
「…………」
 用は済んだとばかりにさっさと歩き出した零の背中を、暫くの間じとりと睨んでいた鋼牙だったが、ぐっと拳を握りしめてからおもむろに歩き出す。
 零と同じ方向に向かって。
 カオルが行く予定のパーティーの会場はわかっている。東の管轄にある、海沿いの大きなホテルだ。
『……鋼牙』
「……なんだ」
『番犬所への報告はいいのか?』
「……少しくらい遅れても、どうということはない」
『……そうか』
 さもおかしげに喉の奥で笑ったザルバに少しばかり眉をひそめたが、鋼牙の足は止まることはなかった。

*****

 その海沿いのホテルの界隈は、ポートシティでも一際華やかな一角だった。
 芸能人が訪れて点灯式を行ったという大きなクリスマスツリーを中心に、様々なイルミネーションが通りを飾っていた。
 鋼牙がくれたドレスに身を包み、黒のコートを羽織ったカオルは昨日までとは打って変わってウキウキした気持ちでその景色を眺めながら、会場のホテルへと向かっていた。
 キラキラと点滅しながら、夜空へ昇ってゆくサンタのソリを模したイルミネーションを目線で追いかけたその時、白くすらりとした長身の人影を捉えて、カオルは足を止めた。
「鋼牙……!?」
 幻かと思い、ゆっくりと瞬きしてみるが、それは消えてしまうことはなく、穏やかな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
「……間に合ったな」
「鋼牙……! どうしてここに!? 仕事は!?」
「終わったからここに来た。時間は大丈夫か?」
「え? あ、あと少しなら……」
「そうか」
「あ! 見て見て! どう!? 似合う!?」
 カオルは慌ててコートの前を開くと、身につけたドレスを披露する。
「……ああ。よく似合ってる」
「!」
 まさか鋼牙がストレートに褒めてくれるとは思ってもいなかったカオルは、絶句して耳まで赤くなってしまう。 
 鋼牙は深く頷くと、懐から細長い箱を取り出した。
「……だが、少し淋しいな。ちょうどいいから、これをつけていけ」
 包みを破って鋼牙が箱から取り出したのは、イルミネーションの光を受けてキラキラと輝くネックレスだった。チャームのところに石がついているシンプルなデザインだったが、カオルが今着ているドレスによく似合っていた。
 す、と鋼牙の腕が伸びてきて、ネックレスをつけてくれる。
「……ありがとう、鋼牙。私のプレゼントは後でね」
 クリスマス終わっちゃうけど。
 済まなそうなカオルの笑みに、鋼牙は結い上げられた髪を崩さぬように、大きな手で柔らかく撫でた。
「……そんなものはいい。お前の仕事が上手くいけば」
「うん! 頑張ってくるね!」
 じゃあね、と手を振って、パタパタと駆けてゆくカオルを見送っていると、不意にその肩をポンポンと叩かれる。
 だが、振り返るまでもない。
「……なんだ」
「いや~。面白いモン見たなと思ってさ」
「…………」
「衝動買いする黄金騎士なんて、滅多にお目にかかれねぇ珍らしい光景だよなぁ~」
 ここへ来るまで、途中までは零が先行して歩いていたのだが、ついついケーキ屋に寄り道している間に鋼牙が先に出たのだ。
 行く先が同じなので、仕方なく今度は零が後ろを歩いていると、鋼牙が不意に立ち止まった。
 そこは宝飾店のショウウィンドウの前で、少しの間、ガラスが割れそうな圧力の視線を注いでいたのだが、おもむろに店内へと入ったのだ。
 慌てて近づいた零が目撃したのは、さっきカオルに贈ったネックレスを衝動買いしている鋼牙の姿だった。
「……それがどうした」
「いや別に。カオルちゃん、よく似合ってたじゃん。すっごく喜んでたし」
「…………」
 正直、カオルがドレスアップした姿を零に見られたことは痛恨の極みとしか言いようがない。
 否。
 零だけではない。
 本当はパーティーになど行かせたくない。あんな姿を大勢の人間の前にさらしたくなどないのだ。
 しかし、それはカオルの望みに反する。
 彼女の望みは、画家として一人前になること。
 そのために、これは必要なことなのだと自分を納得させた。
「……お前は? カオルにクリスマスプレゼントをやるんじゃなかったのか?」
「あ」
 今思い出したとでも言うように、零は間の抜けた声を上げる。
「鋼牙のせいで忘れた。ちぇ。仕方ねぇなぁ。これ、カオルちゃんに渡しといてよ」
 と、零が押しつけてきたのは、ケーキ屋の箱だった。 
「いちおーお前とゴンザさんの分も入ってっから」
 そう言い足すと、零はくるりと背を向けながら、頭上でヒラヒラと手を振りながら立ち去っていった。
「……なんなんだ、一体」
 ボヤキながら視線を戻すと、カオルはホテルの出入り口で友人の亜佐美と合流したところだった。
 それを見届けて、鋼牙はくるりと踵を返す。

 パーティーで知り合った関係者から、カオルが壁画の仕事を掴んだのは後日のことである……。


 おわり




 その後。カオルと亜沙美。

亜佐美 「カオル! 可愛いそのドレス!」
カオル 「へへ~。でしょ? 鋼牙にもらったの~。クリスマスプレゼント」
亜佐美 「ちょ……! そのネックレス、ダイヤ!? てゆーか! そのボレロ、本物!? 毛皮!?」
カオル 「なんかそーみたい。ふわっふわで気持ちいーの」
亜佐美 「ドレスと毛皮とダイヤくれる男なんていつ捕まえたのよ! 紹介しなさいよ~!」
カオル 「ええ!? こ、鋼牙は駄目!」
 ムキになるカオルに、亜佐美ニヤリ。
亜佐美 「やっとカオルにも春が来たか~。うんうん」
カオル 「…………」(顔真っ赤)
亜佐美 「彼の友達でいいから紹介して!」
カオル 「ねぇねぇ、そんなことより」
亜佐美 「……そんなこととはヒドイ言い草ね」
カオル 「鋼牙へのクリスマスプレゼント、手作りのディナーにしようと思うんだけど、どうかなぁ~。なんかいいレシピあったら教えて~」
亜佐美 「……カオル。それだけはやめときなさい」

 

 


 

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  1. 牙狼・鋼カオ
  2. / トラックバック:0
  3. / コメント:6
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  1. 2016/12/31(土) 07:42:01 |
  2. |
  3. [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

クリスマスプレゼントが〜

  1. 2016/12/31(土) 15:24:13 |
  2. URL |
  3. つぐの
  4. [ 編集 ]
カオルちゃん
お手製料理のクリスマスプレゼントだけはやめましょうね。((((;゚Д゚)))))))

1/6から絶狼 DRAGON BLOOD
始まりますね。
雷牙編の劇場版
月虹の旅人

鋼牙&薫でないのは残念ですが
長らく牙狼不足でしたので
今から楽しみです。

  1. 2016/12/31(土) 17:04:01 |
  2. URL |
  3. とらこ
  4. [ 編集 ]
こんばんわ、まー母さん様。
はい。そうです。ゴンザさんが一通り選んだ中から、更に鋼牙が選んだプレゼントなのです(そのあたりはゴンザさんが適役です)
クリスマスを過ぎてしまいまして申し訳ありません。
いや~。今年の年末は忙しかった。。。いや。仕事があるのはいいことなんですがね。
できうる限り頑張りたいと思ってはおりますので、来年もよろしくお願い致します。
良いお年をお迎えくださいませ。

  1. 2016/12/31(土) 17:05:57 |
  2. URL |
  3. とらこ
  4. [ 編集 ]
こんばんわ、つぐの様。
……カオルの手料理は……愛が重すぎますね;;

新作始まりますね~。
いやホント楽しみすぎます。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/05(木) 18:22:38 |
  2. |
  3. [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/07(土) 23:28:07 |
  2. URL |
  3. とらこ
  4. [ 編集 ]
こんばんわ、しおしお様~。
今年もよろしくお願い致します。

クリスマスのお話なのに、肝心の後編のUPが遅れてしまいまして申し訳ゴザイマセン。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです(ノД`)・゜・。


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プロフィール

とらこ

Author:とらこ
ど田舎在住の超インドア人間。
牙狼とV系の音楽をこよなく愛してます。

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